Columnうるしのおはなし

はじめに

私たちの食卓に並ぶ漆器、今となっては、汁椀ぐらいになってしまいました。それもプラスティックなどの素材にとってかわり、本当の「漆塗り」のものは少ないように思われます。

本来「塗りもの」は、日常生活の用具でありながら、生活様式の変化について行けず、その取扱いがやたら丁寧にと言われすぎているように思われます。

そこで私たちは、独特の美しさ、あたたかさ、手触り、口当たりを大切にした「塗りもの」を日常生活の中で気軽にお使いいただけるように、また素地、塗りを吟味した作り手の心をお伝えしたく、このコラムを執筆いたしました。

漆の器って手入れがめんどうでしまい込んだまま…。

でもそれは、年に一度しか使わないから

ふだん使う漆はは磨かなくてよいのです。扱いも陶器と同じように…。漆の器は過保護にしなくてもよいのです。

ただし、金物ののフォークやスプーンを使ったり、上に陶器を重ねるのはやめてくださいね。

うるしのうつわって高級品?

昔は庶民の器です。飯椀だってうるしぬりが主流でした。ぬりのうつわで食べるごはんって美味しそうですね。

うるしの器って洗って大丈夫?

大丈夫です。洗ってください。洗剤やソフトスポンジなら問題ありません。ただし、金たわしやクレンジング剤の使用は控えてください。

うるしぬりは水切れがいいんですよ。また、なちやのうるしの器は、食器洗浄機対応の商品もございますので、家事が忙しい人にも気軽に使っていただけると思います。

あたらしいうるしって臭いが…

ぬりたての器はどうしても臭いますが、毎日使い、水や空気に触れることで臭いも抜けていきます。

箱から出して、風通しの良いところに1〜2週間おくだけでもずいぶん臭いがとれます。ただし、直射日光は避けてください。

もっと早く臭いを取りたい人は

お米のとぎ汁をぬるま湯程度に温めて洗う、またはお酢をうすめてガーゼなどにしみ込ませてふいてください。

漆ってかぶれが心配で…

漆が乾いてすぐは、ぬりの肌がしっとりして、臭いも強いです。(漆が若い)

基本的にしっかり乾いたうるしにはかぶれません。絵の具や塗料は、水分やシンナーをとばして乾きますが、うるしは、湿度や温度を利用して酵素によって固化します。これにはとても時間を要します。

うるしの素材と価格

【木】

檜や栃、欅(けやき)、サクラ、ブナの木を原料にしています。板物としては、弁当箱や重箱、硯箱がつくられます。

また挽き物としては、椀や盆、皿などがつくられます。

さらに、秋田のまげわっぱに代表される曲げ物には、わっぱ、弁当箱、盆などがつくられます。いずれの素地もよく乾燥させないと製品になってからゆがみが生じます。

【紙(和紙)】

竹や木で編んだ籠に和紙を貼り漆を塗る一閑張りが有名です。

【布地】

麻を主にした布を型に貼り重ねて型からはずして漆を塗る乾漆や、鹿の皮に漆を施す印伝などが有名です。また金属に漆を塗る甲冑や、磁器やプラスティックにも漆を塗る製品があります。

あとがき

漆は縄文時代からいろいろなものに使われていた事は古墳や遺跡から発掘されたものから伺えます。また仏像や寺院の什器などにも使われ、近世では漆器として広く使われている事はご存知の通りです。
漆は合成樹脂塗料のように環境を汚染することなく、熱や酸、アルカリにも強く、例えば茶の湯の窯の内側に塗って、鉄分の溶け出すことを防ぐ効果もあります。漆塗りと言えば、値段が高い、取り扱いが大変だと言うイメージがありますが、本来は日常の用具として気軽に使われていたはずです。いつの頃からか高い蒔絵のついた腕などがこのようなイメージを与えたのでしょう。 私たちは陶磁器やガラスにない漆独特の素晴らしさすなわち漆塗りの美しさ、暖かさ、手触り、口当たりの良さを大切にしたものづくりをしました。
和食はもちろん中華、洋食やエスニック料理にもお使いいただけるデザインと塗りにこだわりました。漆塗りの多様な使い回しをお楽しみください。